趣味のパワーエレクトロニクス

パワーエレクトロニクス工作日記

同期整流についての考察

こんにちは、野口です。

 

 

今回は同期整流について考察していこうと思います。フライバックコンバータばかり作っているだけでは駄目ですからね。

 

*ここで言うコンバータは全て絶縁フライバックコンバータのことを差します。

 

同期整流とは

名前の通り、MOSFETなどのスイッチング素子によってダイオードのように電流を整流することです。

普通のダイオードによる整流と違うのは、電流とシンクロさせてスイッチング素子をON-OFFすることです。

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上の画像は一般的なダイオードによる整流です。

簡単で、コストもかからないので、多くの電源回路はダイオードを使っています。

しかし、ダイオードには0.5~1.1Vの順方向電圧降下があります。順方向電圧降下が大きく、電流が多く流れるほどダイオードの余計な消費電力は増え、熱となります。

熱になるということは、電源自体の電力変換効率を低下させることになり、故障を引き起こす恐れがあります。

また近年のCPUなどの低電圧大電流化に伴い電源装置にはますますダイオードが使えなくなる状況が生まれました。

こういったダイオードのデメリットを克服するために考案されたのが同期整流というわけです。

同期整流を用いれば、無駄になるダイオードで消費される電力の約10分の1になりますし、それによって電源自体の電力変換効率もUPさせることが出来ます。

 

同期整流回路

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上の画像は、同期整流の一般的な回路①です。

2次側にはもう一つ巻き線(同期巻き線)が足されていますね。この巻き線でMOSFETをONにするための信号を検出します。

また、起動のための電流もこの巻き線からとり、電源装置のスイッチを入れてすぐにMOSFETを駆動できるようになっています。

MOSFETのボディダイオードは、MOSFETが最初に駆動する前から、1次側へのフィードバックバックをさせるための電流が流れて、駆動した後も、普通のダイオードとして機能します。

しかし、電流はON抵抗の低いMOSFETの方に多く流れるので、このダイオードによる損失はあってないようなものです。

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上の画像は、同期巻き線を用いない回路②です。

ダイオードと簡単に置き換え可能なので、最近の同期整流ICはほとんどこのような回路を採用しています。

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同期整流ICの一例です。

このICはなんと、一次側の制御回路やフィードバック回路まで内蔵しているICです!

私はこの類いのICがタブレット充電器に採用されていたのを目にしたことがあります。

 

同期整流回路草案

さて、私のような普通科高校生の電気の知識は本当に乏しいもので、あんまり良い回路を考えたり出来ませんが、それなりに考えてみたのでこの先もどうぞお読み下さい。

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上の回路は私が最初に作ってみた同期整流の回路です。

MOSFETを駆動させることはできましたが、誤作動が多く、ちゃんとターンオン/オフしないことが結構あって使い物になりませんでした。

追記(R1.11.19)→同期巻き線を正しく設計すれば多少改善するそうです。

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次に考えたのがこちらです。

トランジスタ一石によるもので、簡易的なゲートドライブ回路を再現したつもりでした。

しかし、ゲート電圧をオシロスコープで見るとこんな感じになります。なぜでしょう?

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それは、MOSFETのゲート入力容量よって立ち上がり/立ち下がりがなまってしまうからです。

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上の画像で示したように、立ち上がり時に(R1+R2)×Cの時定数が、立ち下がり時にR2×Cの時定数がかかるため、波形が丸みを帯びてしまいます。

それを改善させたのが下の画像です。

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P-chMOSFETとN-chMOSFETのプッシュプルで駆動させました。

これにより、入力容量のチャージ/ディスチャージがスムーズになり、波形もより方形波に近づきます。

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応用例

同期整流の応用例として、ACからDCにするために用いるブリッジダイオードの代わりになる、同期整流フルブリッジ回路を作ってみました。

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上の写真はAC40VをDC56.4Vに整流させているところです。

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MOSFETとボディダイオードの整流で56.2V

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↑ボディダイオードのみで54.7V

ちゃんと同期整流が効いていました。

私の動作環境上、MOSFETのON抵抗が比較的大きいものを用いてしまったので参考になるかは解りませんが、それでも電圧降下が0.2Vまで抑えることが出来ました。

もっと負荷を大きくすると、その差は大きく開くでしょう。

 

終わりに

同期整流にもダイオードみたいなデメリットももちろんあります。

それはコスト面と回路の複雑さが例にあげられるでしょう。

今後の電源製作では、ダイオードMOSFETのそれぞれの利点を使い分けることに重きを置けたらなと思います。

今回は同期整流についてちょっと話しただけで終わりですが、私の知識不足もあり、今のところ言葉に出来たのはこのくらいまでです…

今後も電源が進歩していくにあわせて、私も知識をどんどん身に付けていきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。

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